コンピュータ支援設計(CAD)

はじめに

用語

コンピュータ支援設計(CAD)

CAD(Computer‐aided design)は、エンジニアリングにおける部品やアセンブリの設計や製図を支援するために一般的に使用されるソフトウェアです。FTCでは、ロボットの3Dモデルを作ったり、カスタムパーツを設計したりするのに使われます。

**FTCで成功するロボットを作るのにCADは必須ではない。**CADでロボットを完全に設計したチームが多いのは事実だ。しかしそれでも成功した多くのチームの中にはロボットの一部だけをCADで作成しただけのチームもいる。

では、CADは何のためにあるのだろうか?新チームがCADに挑戦することは、特にその分野の経験豊富な指導者や保護者がいる場合に奨励される。CADが有益な理由は複数ある。

  1. CADは、スペーシングの問題など、予防可能な悩みの種の多くを解決する。そのため、CADで問題を発見した場合、ロボットを製作する前に設計の修正することができ、時間の節約につなる。

  2. CADは、多くのSTEM分野で使用されている専門的なツールである。CADの知識とスキルを身につけることは、将来そのような分野で学んだり働いたりする際に有益となるだろう。

  3. 3Dプリントや機械加工による部品を作りたい場合は、CADが必要になる。

  4. CADは、実際にお金をかけて部品を購入する前に、ロボットに必要な部品を決定するのに役立ち、ロボット製作のコストを削減することにつながる。

しかし、CAD は FTC での成功を保証する魔法の精霊ではない。CADは正しく扱えたときはじめてロボットの設計を助ける非常に強いツールとなる。多くのチームがCADなしで成功を収めていることを覚えておこう。

まずは、CADプログラムを選び、できる限りよく学ぼう。数週間かけて、その辺に転がっている物を見つけ、定規やノギスを持って、手早くCADモデルを作る、を繰り返すのはいい練習方法かもしれない。CADモデルが実際の部品に対してどれだけ正確かをテストする良い方法がある。1つの既知の材料でできた物体を選び、物体の重さを量り、CADでモデルを作ろう。選んだ物体の材料をCADで適用して設計と実際の重さの違いを見る。重さの違いが少ないほどいい設計であると言えるだろう。 設計する物体がどのようなものであるかは関係ない。ただ何かを見つけて、自分の能力の限りを尽くして設計してみることが重要だ。YouTubeにもたくさんの動画があり、中でもAutodesk Inventorの詳細なチュートリアルを作っているTFIは良い動画である。

CADプログラムの概要

チームが学ぶことのできるCADプログラムは数多くあり、そのすべてが学生またはFTCチームのライセンスで無料でダウンロードできる。無料コピーを使える条件はプログラムによって異なるので、ここで少し調べる必要がある。以下は、検討すべきいくつかの提案だ:

Onshape

フル機能のCADパッケージだが、すべてクラウド上で動作する。どんなコンピューター(Chromebookでも!)でも動作し、iOS、iPadOS、Androidアプリもある。

Onshapeは、SolidWorksやInventorと同じ基本的機能に加え、業界最高のコラボレーションワークフローを備えている。Onshapeでは、複数の人が同じドキュメントで同時に作業することができ、ユーザーはお互いを「フォロー」して、他のユーザーの画面に表示されているものを見ることができる。

OnShapeには、カスタム機能を作成できるプログラミング言語、FeatureScriptがある。コミュニティではすでに多くの便利なFeatureScriptが作成されており、これらのカスタム機能は完全に無料で使用することができる。

また、Onshapeには包括的なチュートリアルシステム(https://learn.onshape.com)があり、ソフトウェアの使い方だけでなく、設計上の問題へのアプローチ方法も教えてくれる。

CADを始めたばかりの人や、パワフルなコンピュータを使える環境にない人には、オンシェイプが最適なオプションだろう。

SolidWorks

SolidWorksはDassault Systèmes製の業界標準CADパッケージ。優れたシミュレーション機能や非常に堅牢なアセンブリ環境など、CADソフトウェアとしてはこれ以上ない機能を備えている。産業界で広く使用されているほか、ほとんどの大学レベルのエンジニアリングクラスで採用されているプログラムでもある。

ただし、Macユーザーは利用できない。他にも、実行するにはかなり強力なコンピューターが必要だ(16GB RAMが標準)。SolidWorksには、ロボットやカスタム設計部品の構造特性をテストするためのソリッドシミュレーションプログラムも付属している。

SolidWorksの使用経験があるメンターやチームメンバーがいる場合、または学校でSolidWorksを教えるエンジニアリングクラスがある場合は、SolidWorksが最適のオプションだろう。

Inventor

Autodeskが提供する産業用CAD。SolidWorksと似たような機能を多く備えているが、UIが異なり、3つのアセンブリモードがある。

産業界の多くの企業で使用されているが、大学のカリキュラムにはあまり登場しない。Inventorは一般的に、SolidWorksを使用せず、Autodeskのサービスをベースとする企業のCADプログラムとして2番目の選択肢となっている。

**InventorはMacでは使用できない**が、低スペックのPCでは他のCADプログラムと比べよく動作するかもしれない。

Inventorの使用経験があるメンターやチームメンバーがいる場合、または学校でInventorを使うエンジニアリングクラスがある場合は、Inventorが最適のオプションだろう。

Fusion 360

同じくAutodesk製のクラウドベースのオールインワンCAD/CAM(Computer-aided manufucturing) パッケージ。Fusion 360はクロスプラットフォームに対応しているが、低スペックのコンピューターではあまりうまく動作しない。

パーツを加工するための強力なCAM環境があり、直感的で簡単なクラウドレンダリングにより、重労働をAutodeskのサーバーに任せることができる。シンプルなUIを提供するため、FusionはSolidWorksやInventorにある多くの高度な機能を省いているが、これはさほどの問題ではない。

しかし、それ以上に注目すべき点は、Fusion 360があらゆる業界標準を無視し、独自の構造と組織システムを構築していることだ。単純なスケッチや押し出し機能を除くと、フュージョンのモデリングとアセンブリのシステムは独特で、他のCADソフトとの互換性がないため、フュージョンから乗り換えるのは難しい。

このため気をつけないと、Fusion 360のファイル階層は悪い設計習慣を助長する。ユーザーは最初に個別に設計することなく新しいパーツを作成できるため、設計の再利用性を阻害してしまう可能性がある。

優れた設計手法に注意深く従えば、Fusion 360は堅実な選択肢だ。

Creo (formerly known as Pro/E)

PTC(Parametric Technology Corporation)が開発したCAD/CAMアプリケーションの群。主要なCADパッケージCreo parametricは、Solidworksに似た堅牢なアセンブリとパーツモデリングを含む。

他のCADソフトウェアと比較した場合のCreoの主な利点は、複雑な部品関係と拘束条件が反映されることである。しかし、ほとんどの新規ユーザーはこの側面を完全に把握することが困難であると感じるだろう。Creoパッケージには、ローカルレンダリングエンジンと徹底したシミュレーションシステムが組み込まれている。レンダリングエンジンを使用すると、単一部品のシンプルな設計から複数部品の複雑な設計まで、フォトリアリスティックなレンダリングを作成できる。また、Creo Simulateでのマテリアル/ジオメトリシミュレーションから、設計の改良を部品に直接統合することができる。

Creoには多くの機能があるが、一般的な80:20の法則が適用され‐20%の機能で80%の設計ができる。Creoのパッケージには、Windchillと呼ばれるバージョンベースのファイル共有システムも含まれており、ほとんどの専門企業はこれを使用するが、FTCの用途にはGrabcadで十分だ。

Creoの学習は、複雑な関係と制約の構造に加えて、オンラインで利用できるチュートリアルが限られているため、他のCADソフトウェアよりも難しいと感じる場合が多い。すでにCreoを使用した経験のある人からCreoを学ぶことができるならお勧めする。

Creoは、大学レベルのエンジニアリングクラスや、自動車、航空宇宙、コンシューマー業界の数多くの企業で使用されている。相変わらずCreoはWindows OSのファイルシステムを使用しているため、Macでは動作しない。ただし、Windowsエミュレータをインストールすることで、Mac上でCreoを実行することもできる。

部品調達

すべてのベンダー(REV、goBILDA、Actobotics、AndyMark、Tetrix)は、販売しているパーツの3DモデルをSTEPフォーマットで提供している。ベンダーによっては、販売しているすべてのモデルの STEPファイル を含むリポジトリやzipファイルを提供しているところもある。

ファイル共有

チームでは、複数のメンバーでCADモデルを作業することが多い。そのため、各自が最新のファイルを持つためのファイル共有システムが必要になる。ファイル共有にはGrabCAD、Box、Google Drive、Dropboxなどがおすすめだ。

また、混乱を防ぐために、一度に一人のチームメンバーのみがモデルの設計に取り組むようにする方が良いだろう。

有用な参考資料

その他CADのリソースは、:ref:`CAD section of the Useful Resources page <useful-resources-cad>`で見つけられる。